研究概要 |
本研究は,下記の4つの項目を研究の目的として挙げた. (1)統合的脳アトラスの構築、および要素技術の開発 (2)統合的脳アトラスに基づき、画像に含まれる疾患構造に対して頑健な自動抽出法の開発 (3)統合的脳アトラス、および自動抽出処理を実装したモジュール群のシステム統合 (4)具体的な疾患を対象とした診断・治療支援におけるシステムの臨床使用と多角的な評価 最終年度である本年度は,(1)~(3)を継続的に行うとともに,(4)の応用を行うための統合的脳アトラスのプロトタイプを構築した.この統合的脳アトラスは10例の拡散MRIデータセットを用いて構築され,アトラスの各ボクセル位置において拡散異方性指標(FA値),拡散係数(D値),拡散尖度(K値)の平均および分散共分散行列の情報をもつ.この成果については,国際学会(Computer-Assisted Radiology and Surgery 2012)に採択され,口頭発表を行う予定である.また,アトラスの一要素である拡散尖度の高速かつ頑健な独自な方法を開発しているが,これも国際学会(International Society of Magnetic Resonance in Medicine 2012)に採択されている. 診断支援に関しては,要素技術として開発した帯状束の自動抽出に基づくパーキンソン病の診断支援技術を開発し,後ろ向きデータ収集により得られた順天堂大のデータに適用した.また,国立がん研究センターのOpen型MRIを有する手術室において,開発した手術ナビゲーションシステムの動作確認および頭部ファントムを用いたナビゲーションの模擬実験を行った。ための位置センサの動作確認と精度検証を行い、統合システムへの接続を試行した。 今後は,さらなるアトラスに含まれる情報の多種化と高精度化を行い,様々な応用を行う予定である
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