研究概要 |
超音波探触子を指に組み込んだ腹腔内組立式ハンドの開発に取り組んだ.これまでに組立式ハンドのためのさまざまな組立方式,動力伝達方式を考案した.その中から対向する二つのポートを使用し,片方から片方に貫通させて組み立てる方式が,組立とハンド設計の容易さから多自由度化が可能であることを確認した.そこでその方式を採用し,各指が2関節を持つ2指ハンドを開発した.指同士が相対的にスライドできるため合計5自由度を有している.各指それぞれに超音波探触子を組み込み,セクタスキャンを可能とした.このスキャンの自由度を含めると合計7自由度を有している. 開発したハンドにより,臓器を模した物体を把持し,把持力を変化させその変形を観測することができた.また超音波により,把持する臓器だけでなく,臓器に接触している他の指も観測できることが示唆された.すなわち,模擬臓器裏側に凹凸をつけた物体を接触させ,エコーより凹凸が検出可能であることを実験的に確認した.これにより他の指の接触状態や相対的な位置姿勢の計測にエコーが利用できることが分かった.臓器変形から臓器の硬さが計測できることが期待される.今後,信号処理のソフトウエアを開発し,臓器変形および硬さを計測するシステムを完成させる予定である. 超音波のほかに,指先に搭載可能な力センサの原理を考案した.電気を用いずに簡単な構造のため滅菌可能であり,組立式ハンドだけでなく通常のロボット鉗子にも搭載可能であることが期待できる.
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