研究概要 |
1. 術中の空気含有量より、脳偏倚、歪みを推定する技術開発 不随意運動に対する定位脳手術においては、髄液漏出に伴う脳偏位は、定位性を妨げる。Virtual Endoscope(VES)における変形画像フュージョン技術を用いて、術中撮像された頭蓋単純写上の、髄液漏出に伴い描出される前頭部空気含有量を基に、術前MRI画像を、仮想的に変形、偏位させ、XYZ coordinationを補正する技術を開発した。変形フユージョンするためには、非剛体レジストレーションによる変形関数を過去に撮像された術前CT画像と術後CT画像症例をもとに、変形関数を決定し、仮想的術中ヴァーチャル画像を作成した。結果、症例においては、AC,PCの変位を計算すると、ACは(X:0.55mm,Y:1.20mm,Z:2.80mm),PCは(X:0.43mm.Y:0.98mm,Z:2.47mm)それぞれ、X方向は対側に、Y方向は後方に、Z方向は尾側に移動していることが、明らかになった。 2. 3次元的電気生理学的特性データーと臨床情報他との統合解析 今年度は、視床下核(STN)内の単一神経活動記録における運動関連反応と臨床効果を検討した。電気生理学的情報として、DBS leadが留置された1 trajectoryで記録される平均単一神経細胞数は、Reticular nucleus:2.2±2.1,Thalamus(Voa or other):2.6±4.2,STN:16.3±6.7であった。STN内の運動関連細胞数は、顔面0.02±0.001、上肢2.9±3.0、下肢3.4±3.0、非運動関連細胞数は、9.1±3.6、SNr細胞は、96 trajectory(96.0%)で記録された。臨床効果の指標となるUPDRS IIの改善度と有意に(p<0.05)相関したのは、STN運動関連細胞総数、STN総細胞数、STN下肢の運動関連細胞数、STN記録の平均長であり、この順に相関係数が高かった。UPDRS IIIの改善度とは、有意に(p<0.05)相関したのは、STN運動関連細胞総数、STN上肢の運動関連細胞数、STN総細胞数、STN記録の平均長であり、この順に相関係数が高かった。
|