研究概要 |
我々が作成した、Schaltenbland and Wahren atlas (S-W ATLAS)の3D解剖図(尾状核、視床内の、Vba,Vbp,Vim,Vc核、淡蒼球内節、外節、視床下核をセグメンテーションし、AC-PC lineよりの距離と矢状面から、5-25度まで5度ずつの傾きでスライスされた図譜)に、パーキンソン病に対する定位的脳深部刺激術においてえられた単一神経活動の電気生理学的特性(発火頻度、活動電位、活動パターン等)を解析したtrajectoryを照合した。電気生理学的データとして、視床の細胞数、視床下核(subthalamic nucleus : STN)長、STNの総神経細胞数、STNの運動関連神経細胞数およびsomatotopy、黒質神経細胞数、神経活動パターンなどと術後のUPDRS運動及びADLの改善度の相関を解析した結果、STNの運動関連細胞数、STNの総神経細胞数、STN長、oscillationパターンと有意に相関した。共同研究者森らは、術中の髄液漏出にともなう脳偏倚を、術中撮像される頭蓋単純写で描出される空気含有量から非線形変形技術を利用して評価する技術を解析した。その偏倚をAC-PC lineの移動として算出し、術中にリアルタイムに3D画像を変形アップデートした。また、リアルタイムな神経活動解析を行うために、術中の患者四肢の自動および他動運動と反応する神経活動解析を同時記録するシステムも構築した。本年度後半より、術中単純写電気生理学的データのなかで、特にSTNの運動関連細胞数、STNの総神経細胞数、STN長、oscillationパターンを重視して、電気生理学的ナビゲートしながら、治療DBS電極を最適な部位に留置する定位的脳深部刺激術を行い、その有用性を検証した。
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