研究課題/領域番号 |
21300191
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
田川 憲男 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (00244418)
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研究分担者 |
大久保 寛 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (90336446)
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キーワード | 血管内超音波法 / 高調波画像化 / マイクロ超音波モータ / パルス圧縮画像化法 / FMチャープパルス / ウイナーフィルタ |
研究概要 |
(1)超細径超音波モータの開発 これまで開発を進めてきた超小型超音波モータは、コイル型ステータ上の屈曲波伝搬に起因してロータとの間に生じる摩擦力によって駆動される。したがって、屈曲波振幅の大小、すなわち駆動電圧の大きさによって回転速度が制御される。しかし、ステータ・ロータ間に予圧がなく、両者間に常に隙間が存在するため、屈曲波振幅が小さい低速回転時に摩擦力が効果的に働かず、回転が不安定になる。そこで、駆動電圧にパルス幅変調(PWM)を施し、電圧印加期間の位相関係を変化させて、回転速度の制御を行う方法を検討した。外径1mm以下のモータを用いた実験により、電圧制御に比べて低い回転速度までの制御が可能であることが確認でき、IVUSプローブの実現に重要な成果が得られた。 (2)画像化システムの開発 まず、昨年度より検討を進めている分離統合画像化法(送信チャープ波を複数に分割し、個別送信により得られるエコーから高調波成分を抽出して統合する生体高調波画像化法)を、シミュレーションにより評価した。高調波成分抽出の一般的手法であるパルスインバージョン(PI)(位相を反転させた2回の送信によるエコーを加算して基本波を抑圧する)は、画像化対象の微小な動きによって結果が大きく劣化するのに対し、分離統合画像化法は対象の動きに極めて頑健であることを確認した。 もう一つの研究として、基本波エコーを用いて高調波のSNRを向上させる手法を検討した。基本波は、解像度は低いがSNRは高く、また周波数依存減衰(FDA)を受けにくい。これらの利点を利用して基本波のパワースペクトルから高調波のパワースペクトルを推測し、それを用いてウイナーフィルタを構築することで、単純に高調波成分を切り出すよりもSNRが向上することを確認した。今後はFDAを厳密に考慮し、エコーを非定常信号として扱った手法に拡張する予定である。
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