研究概要 |
1. パルサーレシーバーによる超音波速度変化の温度依存性の測定 光アシスト超音波速度変化イメージング法では被測定物の超音波に対する特性を水の特性で近似して温度分布、光吸収分布を求めていた。実際には超音波速度は生体物質によって異なる。超音波速度の温度依存性に関する測定例は少ないので、パルサーレシーバーを購入して、生体内に存在すると考えられる物質中の音速と温度依存性を測定し、生体組織における実験のための基礎データとした。 2. 光・超音波プローブの作製 光ファイバー付半導体レーザー(770nm)と電源を購入し、超音波アレイトランスデューサーと組み合わせて光・超音波プローブを構築した。現有の半導体レーザーと合わせて、660nm、770nm、810nm,915nmの光源が準備できたことになる。レーザーの電流と光出力、試料表面における照度の関係を測定した。 3. 生体疑似試料における金ナノ粒子、ICG(インドシアニングリーン)の分光画像測定 鶏肉内に金ナノ粒子、ICGを分布させた生体疑似試料に光アシスト超音波速度変化イメージング装置を用いて光照射による超音波速度変化画像を取得した。異なる波長の半導体レーザーに切り替えて同様に超音波速度変化画像を取得した。4種類の波長で検出した超音波速度変化画像を比較し、金ナノ粒子、ICGに分布領域は波長依存性があることを確認し、その速度変化の値は、それぞれの超音波速度変化に対応していることを示した。これは、異なる波長で測定した速度変化画像間のサブストラクションによって目的物質の分布が検出できることを示しており、目的物質以外の吸収体も存在する生体組織への適用において有効な方法であると考えられる。 4. 高速走査プローブによる振動の影響の抑制 鼓動や測定中の試料の移動の影響を抑制するために、セクター走査が可能で、現在の超音波プローブよりも1桁速い走査が可能なプローブを購入した。セクター走査によって超音波速度変化画像を求めるプログラムを作成し、基礎実験の結果に適用した。今後、動物実験に適用していく予定である。
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