機能的近赤外線スペクトロスコピー装置(functional near-infrared spectroscopy:以下fNIRS)による実験については、島津製作所のOMM-3000(レンタル)を使用し、20歳以上65歳未満の被験者20名に対し、指タッピング、嚥下運動(水、ゼリー、お粥、普通飯)、舌運動、口唇の運動、咀嚼運動等の嚥下関連動作のタスクを行い、脳の賦活を観察した。嚥下運動のモニタリングは空気パッドを喉頭に貼って観察し、刺激提示は画像・検者の声で行った。また各被験者のMRI画像を撮像し、三次元で表示させ、フォルダの三次元位置情報をあわせて大脳皮質上のどの部位が賦活するか観察した。その結果、各運動によるタスクによって一次運動野・一次感覚野の該当部位、また嚥下について、被験者によって頭頂葉が賦活した。この解析を各被験者ごとに行い、また近年開発されたfNIRS解析ソフトであるNIRS-SPMを用い、個人解析・集団解析を行う予定である。また、咀嚼運動を行うと側頭筋の血流が増加すると思われ、fNIRS測定に大きな影響を及ぼす。この解析についても検討していきたい。機能的磁気共鳴画像装置(functional Magnetic Resonance Imaging:以下fMRI)による実験については、操作室から被験者まで約10m弱の距離があり、被験者の頚部に空気パッドを貼って嚥下のモニタリングが可能かどうか検討した。嚥下運動は液体をチューブで被験者の口腔に送り込むこととした。刺激提示は画像を用い、タスクは水嚥下・舌運動・口唇の運動・空嚥下を行った。現在のところ20歳以上65歳未満の被験者2名に対して行い、一次運動野・一次感覚野の該当部位が賦活した。fMRIは微細な運動がアーチファクトになってしまうため、撮像方法の検討がさらに必要である。
|