研究課題
麻酔下の観血的方法によりラットの冠状動脈を結紮し、ラット心筋梗塞モデルを作成した。手術後1ヶ月の回復、リモデリング期間を与え、麻酔下に心エコー検査を行った。心機能が十分に低下している、すなわち心筋梗塞となっているラットを運動群と非運動群に分け、トレッドミルによる運動療法を4週間行った。運動条件は傾斜0度、速度は20~25m/分で1回あたり60分間、一日1回、週5日間として行った。今回の検討の範囲では運動1ヶ月後の心エコー法による壁運動評価では非運動群に比べ運動群で左室駆出率の改善がみられている。運動療法後にラットをと殺、採血し、その心を摘出した。ラット心は今後のタンパク質抽出およびRNA抽出、解析用に-80℃にて保存中である。肺重量/体重比は運動群で低下、血漿BNP濃度の低下も見られている。これまでの結果は、運動療法の心筋梗塞ラット心への効果として、心機能の改善、肺うっ血の軽減の可能性を示すものである。これまで言われていた末梢性の運動療法の効果とは別の効果の存在が示唆される。当初の予定通り22年度には例数を増やして、心のタンパク質、RNA発現についても検討すべきであることを示している。