研究課題
運動療法の有効性の機序として、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系のひとつ、(プロ)レニンレセプター(以下(P)RR)のタンパク発現を評価した。経過中トラブルによりサンプルを失い、新たに作成したが、サンプル数が不足したため投稿できるデータとはならなかった。その結果、血漿中の遊離型の(P)RRは長期的な運動によって変化しない可能性があることがわかった。今後更なる検討が必要と考えられた。心筋梗塞部、非心筋梗塞部では心不全により(P)RRのタンパク量は変化しない可能性も見られた。また運動療法による心での(P)RR蛋白発現も変化が見られなかった。RNAサンプルに関してはサンプル数不足であるが、2009年の発表と同様、心不全ラットの心では(P)RR mRNA発現は亢進していることが確認された。心においては、心筋梗塞による心不全では(P)RRタンパクの発現が時期的に変化する可能性も考えられ、心不全進展時期の2~4週間の時期の検討も行うべきであると考えられた。また、遊離型(P)RRの検出に今までは、直接Western Blot法を用いてきたが、ELISAを行えるようにできるとその測定は信頼性も大幅に向上することが考えられ、(P)RRの今まで使用してきた抗体産生部位よりN末端よりの新たな抗体の評価を行なった。Western Blot法で複数のバンドが得られるが、ヒト腫瘍細胞、人血漿、ラット腎組織、ラット血漿いずれにても使用に耐えられる抗体を入手した。今後ELISAを立ち上げることを検討している。