研究概要 |
片麻痺ラットの急性期、慢性期において、感覚、運動機能、高次機能(学習・記憶、情動)を評価し、感覚麻痺、運動障害、高次脳機能障害などの片麻痺予後について、海馬および扁桃体などの辺縁系のニューロン活動および前頭連合野における統合機能など分子レベルで関連性を明らかにするための3年計画の研究の初年度研究を実施した。ラット個体行動とニューロン活動の両レベルで片麻痺予後を追跡評価し、片麻痺の病態に合致したリハビリテーションの最適化を図ることが本研究の要点であるため、平成21年度では、片麻痺と運動、感覚機能の評価するため、ラット(Wistar,雄10週齢)を開頭して、極微量5μlのカイニン酸を大脳基底核に24時間間歇的長時間注入する方法を確立し、当該部位の局所的破壊による片麻痺モデルラットの作製に成功した。同時に片麻痺ラットの基底核にタングステン電極を埋め込み、歯科用セメントで電極を頭蓋に固定して慢性電極とし、大脳基底核におけるニューロン活動を長期間にわたって連続記録しながら、ラットをOpen Field解析に適用し、一般的行動異常の発生と片麻痺による運動障害について調べるための実験システムを作成した。ただ、ラットの行動異常を質的・量的にする信頼できる解析システム(市販品)がないため、代替として我々のグループが独自にラット行動異常をパターン化し、スコアによる定量的評価として開発した(Zeredo, J.L, Kumei, Y., et al.2009)。
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