研究概要 |
ワーキングメモリ(遅延反応による行動課題)は、8本のアームからなる八方向放射状迷路試験によって評価した。同試験では、8本の各迷路の先に餌が置かれ、ラットはそれらを食べる事ができるように設定した。ただし、同一のアームに2回以上入っても餌はすでにないので、動物が効率よく餌を獲得するためには、以前の試行で自分が訪れたアームを記憶しておく必要がある。動物は訓練試行で得た情報を遅延時間の間保持し,その記憶をもとに保持試行で効率よく報酬を獲得できる条件を与えられた。訓練試行は,8本のアーム全てに餌を置き,毎回ランダムにすべてのアームのギロチンドアを閉め,ラットがすべてのアームに進入してすべての餌を食べるまでの時間と,餌を探索する行動の変化を10分間観察した。その結果、正常ラット(片麻痺発症以前)では、8本アーム全ての食餌摂取完了時間が、平均2.4+0.8分間(6匹)であったのに対して、片麻痺発症後では、急性期には平均7.3+2.9分間と時間が大幅に延長され、慢性期においても、平均6.1+2.5分間というように、訓練と慣れによる効果は見られなかった。これまで動物モデルでの行動解析は、国内外を問わず、動物行動をビデオ録画し、録画上で四肢あるいは頭部背部の代表的なポイント3点を結び、その3点間のベクトルの動きを画像解析するものが主体であった。しかし、この方法では、片麻痺の微妙な動きを捉えるだけの十分な時感度が得られず、結果的に片麻痺の正確な評価ができないことがわかった。片麻痺の機能障害を神経生理学的に理解する上では、神経活動や運動出力などを正確に記録する方法の選択が重要となる。例えば、自由行動のX線撮像による解析では、関節の動きや骨格の相互に動きが詳細に明瞭に提示されるので、片麻痩運動の正確な解析と評価が得られる.
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