研究課題/領域番号 |
21300200
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
沖田 実 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50244091)
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研究分担者 |
坂本 淳哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20584080)
折口 智樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90295105)
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キーワード | 拘縮 / 不動 / collagen / 筋内膜 / 皮下組織 / 滑膜 / 線維化 |
研究概要 |
今年度は、ラットを用いて(1)足関節を底屈位で不動化した拘縮モデル、(2)膝関節を屈曲位で不動化した拘縮モデルを用いて以下の検索を行った。(1)のモデルでは1・2・4・8・12週間不動化した後のヒラメ筋を検索材料に用い、筋内膜と筋周膜におけるtype I・III collagenの動態変化を蛍光免疫染色ならびにその染色像の発光輝度の画像解析に基づく半定量分析から検討した。結果、筋内膜においてはすべての不動期間でtype I・III collagenの増加を認め、しかもtype I collagenにおいては不動4週まで不動期間の延長に伴う増加が認められた。筋周膜においてもすべての不動期間でtype I・III collagenの増加を認めたが、不動期間による違いは認められなかった。次に、(2)のモデルでは4週間不動化した後の膝後面の皮膚ならびに後方関節包を検索材料に用い、Picrosirius Red染色あるいはElastica van Gieson染色によってこれらの組織を構成するcollagenを可視化し、線維化の発生状況を検索した。結果、皮膚においては真皮ならびに皮下組織におけるcollagenの増生を認め、特に皮下組織においては脂肪細胞の縮小・消失とその周囲でのcollagenの増生が著しかった。また、関節包においても特に滑膜においてcollagenの増生を認めた。以上のことから、骨格筋、皮膚、関節包といった関節周囲軟部組織にはcollagenの増生といった線維化の徴候が認められ、このことが拘縮の一因になっていることは明らかといえる。そして、骨格筋においては筋内膜、皮膚では皮下組織、関節包では滑膜といったように、各組織の中でも元来から伸張性・柔軟性に富んだ部位に線維化の発生が著しいことも明らかになってきており、今後はそのメカニズム解明が課題である。
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