研究概要 |
本研究では,ギプス等による関節の不動によって発生する拘縮と呼ばれる機能障害の発生メカニズムを明らかにする目的で,ラットの実験モデルから得た骨格筋,関節包,皮膚といった関節周囲組織を組織学的・免疫組織学的・分子生物学的検索に供し,網羅的に解析した.結果,骨格筋由来の拘縮にはTGF-βと呼ばれるサイトカインシグナルが活性化し,線維芽細胞の亜型である筋線維芽細胞への分化が促され,タイプI・IIIコラーゲンが増加するといった線維化の発生が関与し,この線維化は機械的刺激の減少によって進展する可能性があることが示唆された.また,不動によって関節包においては滑膜に,皮膚においては皮下組織に顕著な線維化が発生・進行することが明らかとなり,これらの組織に由来する拘縮の発生メカニズムに関与している可能性があることが示唆された.
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