脊髄損傷に対する免荷式歩行訓練効果はニューロリハに着目した多くの報告がなされているが,より人口が多い脳卒中片麻痺に対する効果の報告は少なく,運動機能や歩行機能が改善されたという報告に留まっている.本研究で開発している歩行訓練システムは,脳卒中片麻痺に対するニューロリハの効果をより詳細に検討できる仕様である.ニューロリハの概念には,脳神経系機能を賦活させるという意味が含まれているが,もし麻痺筋の機能が残存していても完全なアシストを続けると,廃用症候群に陥り,その筋神経系機能が著しく減退してしまう.本研究のシステムは,ヒトと同じ二関節筋を用いた駆動機構であるため,機能する筋にはアシストしない設定が可能であり,各々の患者へのアシストを自動学習する制御系の最適化モデルの機能を組み込み,できる限り患者自らの筋神経系を使った訓練ができる水陸両用の歩行訓練システムの開発を目指してきた. 最終年度には二関節筋モデルの導入による装具フレームの強度不足を解消する再設計・製作を進め,制御システムの改良,さらに独自の空気圧人工筋の開発,ユーザインターフェイス部の開発等を中心に研究を進め,最終的に臨床試験実施のための礎を築くことができた.
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