研究分担者 |
関 喜一 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (60357316)
倉片 憲治 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, グループ長 (90356931)
森本 政之 国立大学法人神戸大学, 工学研究科, 教授 (10110800)
佐藤 逸人 国立大学法人神戸大学, 工学研究科, 助教 (30346233)
福永 克己 国立大学法人筑波技術大学, 保険科学, 助教 (50455945)
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研究概要 |
本年度は以下の研究を行った。 1.場所や方向を正確に伝えられる音響信号 人が音響信号の方向定位を行う際のメカニズムを利用し,誘導鈴の最適化について信号の継続時間と時間間隔の影響を明らかにした。その結果,提示音の継続時間が同じであれば,断続的に方向情報を与えても連続的に情報を与えても結果が異ならないことを示した。 また,残響音が現状の誘導鈴の定位精度に与える影響については残響音エネルギーが小さい方が,定位精度が若干良いという程度で,大きな影響は認められないことが示された。このため,音響シミュレーションによる検討を行わなかった。 また,前後誤りを低減させるために頭部運動が重要であることを示した。しかし,自発的な頭部運動は視覚情報により誘発されることがわかったため,視覚障害者に対しては積極的な頭部運動の利用を推進すべく,誘導鈴活用のための情報提供が必要である。 2.不快感を与えない音響信号のデザイン 不快度を与えない音響信号のデザインとして,方向定位の正確さを担保する短時間の広帯域音と,記号としてのこれまでの音の継続性を担保する冗長性のある自己残響部分に着目し,デザインを行い,この優位性を心理実験により検証し,さらに,若齢者のラウドネスには影響を及ぼすが,高齢者のラウドネスには影響を及ぼさず,かつ方向定位の情報を与えると考えられる5kHz以上の高音域の信号音の有無について検討を行った。その結果,自己残響部分および高音部の影響について定量的に把握できた。 偶数倍音および奇数倍音の高調波成分を含んだ信号音をできるだけ広い帯域で提示することにより,効率的に方向定位に必要な音量を小さくし,不快度を低減させることができることが示された。 3)実態調査について継続的に行うとともに,海外調査についてはヨーロッパの事例としてイタリアの状況を調査した。
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