研究課題/領域番号 |
21300215
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 和俊 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (30302813)
|
研究分担者 |
宮崎 真 高知工科大学, 総合研究所, 准教授 (30392202)
関口 浩文 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (20392201)
|
キーワード | 運動スキル / 動作シナジー / 脳活動 / 高次脳機能 / スポーツ科学 |
研究概要 |
本年度は、複数の関節の協調的な動きを必要とする課題として、楽器演奏動作(ピアノ・ドラム)、ダンス動作、ジャンプ動作等をとりあげ、パフォーマンスの個人間変動について、脳活動、筋活動、および動作のレベルで検討した。また、この際、心理的外乱の有無や課題の難易度について実験的に操作し、異なる条件下でのスキル発揮において、どのような条件間差あるいは熟練度差が認められるか検討した。その結果、ピアノ演奏動作では、心理的外乱下でのパフォーマンスにおいて演奏前後における一次感覚運動皮質のμリズム変調がパフォーマンスの個人差を反映している可能性が示唆された。また、ドラム演奏におけるすばやい両手協調の獲得プロセスを記述する非線形力学系モデルの妥当性を検証し、両手機能の左右差という制約が、制御パラメータとして作用していることを明らかにした。さらに、ストリートダンスの基礎的練習として一般的に行われている感覚運動同期課題を用いた実験においては、熟練に伴い体肢筋の共収縮が減少する傾向が認められると同時に、感覚運動同期の周波数を増大させると、非ダンサーにおいて同期の位相が逆転するという相転移現象が認められた。さらに、この同期課題では相転移と共に履歴現象や臨界ゆらぎ現象など、非線形力学系に特有の現象が認められたことから、音楽演奏(ドラム演奏)のみならず、より広範囲の筋を動員するダンス動作の組織化も非線形力学系モデルによって記述できる可能性が示された。加えて、ジャンプ動作における左右脚の協調について検討し、ジャンプ途中における床反力の左右方向へのぶれがきわめて小さいという熟練者の特徴を明らかにした。
|