研究概要 |
本年度は、熟練動作シナジーの獲得過程における神経生理学的/数理科学的制御原理について、これまで本研究を含む一連の研究において明らかになった知見を総説論文としてまとめ、専門的学術誌に掲載した(Kudo et al., J. Adv. Compt. Intell. & Intell. Informat., 2011)。また、ストリートダンスの基本動作を用いた感覚運動同期課題において、動作の周波数を増大させると、熟練ダンサーでは同期を継続できるのに対して、非ダンサーにおいて意図に反して同期の位相が逆転するという相転移現象を報告した論文を専門的学術誌に掲載した(Miura et al., Hum, Mov. sci., 2011)。さらに、動作シナジーを必要とするリズミカルな感覚運動同期課題(さまざまな周波数のメトロノーム音に合わせた体肢協調動作)において、ドラム演奏の熟練者が顕著な体肢間協調特性を示すことを明らかにし、論文を専門的学術誌に掲載した(Fujii et al., Music Percept., 2q11)。なお、これら一連の研究が国際的に評価され、平成24年6月に開催されるスポーツ心理学分野の国際学会(平成24年度North American Society for the Psychology of Sport and Physical Activity Conference)において、シンポジウム招待講演を行うことが決定している。これらに加えて今年度は、ダンス動作やピアノ演奏に関わる力学系解析(臨界揺らぎ、履歴現象など)、筋活動解析(共収縮など)、脳活動解析(事象関連脱同期など)をさらに進展させ、学術誌への投稿準備を進めた。
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