研究課題
本年は、複数の身体セグメントの複雑な協調を必要とするダンス、音楽演奏、および野球のバッティング動作を対象として、初心者および熟練者における動作シナジー組織化の特徴について検討した。その結果、ストリートダンスの基本動作におけるリズミカルな聴覚信号と全身動作の同期に関して、1)聴覚信号に対する膝の伸展同期が無意図的に屈曲同期になる周波数(相転移周波数)、2)動作遂行時の筋活動様式(主働筋ー拮抗筋の共収縮)、および3)足関節、膝関節、股関節角度時系列間の相互相関係数に熟練者ー初心者間の違いが認められた。更に、周波数の上昇条件と下降条件とで相転移周波が異なるという履歴現象が確認され、ストリートダンスの感覚ー運動同期が自己組織化現象として理解でき、熟達化に関わる要因が力学系モデルの変数として表現できる可能性が示唆された。また、フレンチホルンの熟練者では、音量およびピッチの変化に応じて吹奏直前における表情筋の活動強度が調整されていることが明らかになった。加えて、野球の熟練者ー初心者間において、バッティングにおけるインパクト付近の頭部動揺の大きさが異なることが明らかになり、この違いがバッティングにおける視覚ー行為結合に影響している可能性が示唆された。また、これまでの一連の成果について、米国にて開催された2012 Conference of North American Society for the Psychology of Sport and Physical Activityにおける招待講演にて発表した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.dexterity-lab.c.u-tokyo.ac.jp/