研究課題/領域番号 |
21300216
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
丸山 敦夫 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (80117548)
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研究分担者 |
川平 和美 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (20117493)
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70295244)
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キーワード | 運動野 / 感覚野 / 筋疲労 / タイピング学習 / 運動野の可塑的変化 / 短間隔求心性抑制 / 長間隔求心性抑制 |
研究概要 |
筋疲労は努力性の疲労困憊に至る単純な筋収縮活動で起こり、タイピング学習は速さと正確性を求め指の制御を要する筋収縮活動である。初年度の研究で、数分間での筋疲労と短時間のタイピング学習の組み合わせはより効率的に大脳皮質運動野の皮質内抑制低下を起こし可塑的変化が起こることが示唆され、さらに疲労後のタイピング速度が向上したことが認められた。2年目に運動野で起こるこの可塑的変化に感覚野からの情報がどのように影響するかを脳波計を用いて検討した結果、タイピング学習によるSEP変化は見られなかったが筋疲労によるSEPは低下する傾向がみられた。脳波からみた体性感覚野変化の結果から、運動野への可塑的変化を起こす筋疲労の体性感覚情報への影響が予測された。そこで、平成23年度では、筋疲労とタイピング学習の組み合わせが末梢電気刺激と経頭蓋磁気刺激の組合せで評価する感覚-運動連関の求心性抑制と皮質内抑制に及ぼす影響を検討した。 被験者には、1)10分間タイピング練習を2セット、2)2分間グリップ運動による筋疲労を2セット、さらに3)10分間タイピング練習+2分間のグリップ運動+10分間タイピング練習を行わせた。感覚野-運動野連関の興奮性は短間隔求心性抑制(Short Afferent Inhibition;SAI))、長間隔求心性抑制(Long Afferent Inhibition;LAI)および皮質内抑制/促通(Short interval intracortical inhibition/intracortical facilitation;SICI/ICF)について評価した。 その結果、10分間のタイピング練習では、SAIおよびLAIはコントロール値と比べ、直後、回復30分まで変化が見られなかった。同様にSICIも変化しなかった。一方、2分間のグリップ運動、タイピング練習+グリップ運動+タイピング練習ではSAIおよびLAIは各直後、回復30分まで変化がみられないままであったが、SICIは各直後で顕著に低下しその後回復15分まで続き30分ではコントロール値に戻った。これらの知見から、SAIやLAIは変化しなかった点からタイピング練習や筋疲労による末梢からの感覚情報の変化は皮質内抑制の変化に影響を及ぼさないことが示唆され、脳波からみた体性感覚野興奮性の低下と今回の求心性抑制の変化なしの結果では機序が異なることが推察された。
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