研究課題/領域番号 |
21300228
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松内 一雄 筑波大学, システム情報系, 教授 (70111367)
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研究分担者 |
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
榊原 潤 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10292533)
長谷川 裕晃 秋田大学, 工学資源学部, 准教授 (90344770)
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キーワード | 水泳 / 推進力 / 準定常理論 / PIV / 渦 / 運動量 |
研究概要 |
泳者に働く非定常力を流れ場可視化と手の動作分析により明らかにするのがこの研究の目的である。その目的のために大きく実験対象を二つに分け実験を実施した。その一つは実際にプールにて泳者の流れ場を計測し同時に手の運動を解析することである。今年度の目標は速度の3成分をステレオPIVにて測定し同時刻の手のひらの位置と向きを測定できるシステムを完成させることである。もう一つは風洞を使った非定常力の測定で、実際の泳者では測定困難な計測である。この実験は力が直接測定できることと、同時に同じ動作を何度も繰り返すことができ、ノイズの少ない流れ場を得ることができる利点がある。この風洞実験では非定常流体力が発生する典型的な例として、一つは三次元翼に対するWagner問題を、もう一つは泳者の手の運動を模擬した周期運動についてプールでの場合と同様、翼の運動と流れ場を計測した。その上で非定常力がどのような機構で発生するのかを考察した。 結果をまとめる。プールで8人の現役水泳選手を用いた実験により、手の運動と誘起速度との相関が得られ流れ場の持つ非定常特性が明らかになった。また、この非定常特性と関係した運動量の生成がジェット流の形で出現していることも明らかになった。風洞実験については二種類の実験とも非定常性の大きいほど働く力が大きいことが明らかになった。Wagner問題では無次元立ち上がり時間、周期運動についてはよく知られている無次元周波数でこの非定常性の大きさを評価した。このことからこれまでの水泳の推進力の評価に用いられてきた準定常理論は破綻することが明らかになった。準定常理論に基づけば力を過少評価することになる。
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