研究課題/領域番号 |
21300231
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
田原 淳子 国士舘大学, 体育学部, 教授 (70207207)
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研究分担者 |
舛本 直文 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (70145663)
真田 久 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (30154123)
三浦 裕 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50142774)
嵯峨 寿 筑波大学, 人間総合科学研究科, 准教授 (30261788)
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
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キーワード | オリンピック / レガシー / オリンピック教育 / ユースオリンピック / 環境 / 人権 / 文化 |
研究概要 |
本研究は、人類のレガシーを創造するオリンピック・ムーブメントを推進する上で重要な項目について調査・検討を行い、オリンピックのビジョン構築を目指す。オリンピック教育に関しては、2010年冬季オリンピック大会と2010年ユースオリンピック大会のケースを日本の場合と比較・検討し、日本においては従来型の「オリンピック読本」の方式が適しているとの見解を得た。2012年ユースオリンピック冬季大会の教育・文化プログラム(CEP)についての分析から、派遣選手の事前・事後研修に改善の余地が認められた。新学習指導要領に準拠したオリンピック教育のための学習指導計画の提案、教材開発を行い、一定の効果が確認された。環境については、上記大会の開催都市における環境への配慮と整備状況、CEPを通じての環境教育を明らかにした。人権については、IOCの勧告である「スポーツにおけるセクシュアル・ハラスメント禁止」について日本の後進性が浮彫りになった。住民の理解については、2016年大会招致期間における東京都の広報誌の分析から、情報伝達の不十分さが都民のオリンピック開催への不支持や不信感を助長させた可能性があったのに対し、フランスでは、オリンピックの招致によって市民やアスリートに恩恵が与えられる仕組みを確立したことが国民の高い支持率につながった。性別確認検査に関する検討の結果、スポーツにおける公正性と社会における公正性は必ずしも同一ではなく、近代スポーツの枠組みそのものを見直していく必要性が示唆された。オリンピック・ムーブメントの観点から、より多くの人にチャンスを与え、より多様なスポーツパーソンを育てるのにふさわしい競技種目とは何かを問い、競技種目に流動性をもたせていくこと、また人間開発との関連も視野に入れていくことが求められる。オリンピックのレガシーを多角的に正負の両面から明らかにしていくことが重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オリンピックのビジョンを構築する上で重要な分野について、各研究分担者で分担し、研究期間に開催されるオリンピック大会とユースオリンピック大会を中心に調査を実施してきた。さらに、2016年オリンピック大会の東京への招致や、必要に応じて、過去のオリンピック大会のケースについても調べながら、また大会を離れて、広くスポーツにかかわる法整備や外交関係、オリンピック種目の変遷などにも焦点を当てながら、研究課題を追究してきた。分野によっては必ずしも同歩調で進捗しているわけではないが、概ね着実に研究成果が積み上がってきているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の枠組みについては、微修正はあるかもしれないが、基本的にこれまでの分担を維持することが確認された。研究期間の終盤にさしかかる次年度では、これまでに各研究分担者が収集した資料や情報、研究成果を共有し、それらをエビデンスとしながら、最終的な到建目標であるオリンピックのビジョン構築を目指して、研究目的に沿った議論を行う機会を増やすことで、全体の到達レベルを高めていきたい。
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