研究概要 |
再生筋における筋衛星細胞(サテライトセル)の挙動を生体上で観察する目的で実験を行った.ネンブタール麻酔科において露出したひらめ筋の遠位1/4部をピンセット先端にて1秒間強く挟み,挫滅損傷を与えた.挫滅3日後に吸引麻酔下にあるラットの下肢の損傷筋(ひらめ筋),をM-cadherin-Qdot複合体/0.1M PBSにてincubationを行いin vivoにて観察した. その結果,生体上においてもQdotが導入されることが確認され,サテライトセルのin vivo real-time imagingが可能となった.損傷を与えていないコントロール筋に対してM-cadherin-Qdot複合体でincubationを行い,15分毎120分間の観察を行ったが,筋衛星細胞の移動は起きていなかった.一方,損傷3日後の筋に対してM-cadherin-Qdot複合体でincubationを行いin vivoにて観察した結果,経時的に移動する,M-cadherin陽性の核(サテライトセル)を確認することが出来た.intactな筋上にあるサテライトセルは,空間移動せず静態しているが,骨格筋が損傷することにより,サテライトセルは活性化し移動を開始するものと考えられた. 昨年度に行った免疫組織化学で得られたデーターでは,挫滅3日後に2損傷部から2600μm離れた件繊維状に細胞周期を終了したサテライトセルが見られ,さらに5日後には損傷部に移動し,分化・融合してミオシンを発現するという結果が得られており,その移動速度は,~900nm/minであった.Qdot観察結果と矛盾しないものであった.今回,生体時用での観察結果では,15分間の移動距離は13μmであり,平均移動速度は840nm/minであった.この数値は,組織学的横断的観察と比較して矛盾しないものであった.
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