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2011 年度 実績報告書

運動性筋損傷後の再生に働く筋衛星細胞のバイオイメージング

研究課題

研究課題/領域番号 21300236
研究機関愛知教育大学

研究代表者

春日 規克  愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60152659)

研究分担者 町田 修一  東海大学, 体育学部, 准教授 (40421226)
キーワード量子ドット / 組織・細胞 / 再生医学 / 骨格筋 / サテライトセル
研究概要

昨年度末の段階で,本研究テーマの重要部を占める,再生筋における筋衛星細胞(サテライトセル)の挙動を生体上で観察することに成功した.こ.の実験は,Fischer344系ラットのヒラメ筋によりおこなった.実験3日前の段階で,ヒラメ筋の遠位1/4部に挫滅損傷を与えておき,実験時には吸引麻酔下にあるラジトの下肢の損傷筋(ひらめ筋)をM-cadherin-Qdot複合体/0.1MPBSにて4時間incubationを行った後に,そのまま吸引麻酔を維持し,ラットを顕微鏡下にセットし,筋上のサテライトセルをin vivo real-time imagingすることを可能にした者である。この実験では,損傷方向に移動するの平均移動速度は840nm/1脚であった.損傷を与えていない成熟筋においては,サテライトセルの移動は起きていなかった.しかし,骨格筋は発生過程における形態形成ばかりでなく,生後の筋細胞の成長(伸長肥大)にともなう筋核の増加などは,骨格筋内に局在するサテライトセルの増殖に頼っている.新たな筋節が線維端に形成されながら細長く成長する筋線維において,長軸構造内の均等配置を保った筋核数の増加は,筋線維上に分布は筋衛星細胞の増殖・遊走(細胞運動)・分化によっていると考えられる.増殖・分化は筋形成制御因子の発現などで確認されているが,発育筋における筋衛星細胞の細胞運動について確認されていない.そこで2011度は1発育初期にある生後1から3週齢のFischer系ラジトを用い,筋の長育を支える筋衛星細胞の動態をin vivo imgingし,その遊走特性を検討する目的で実験を行った.
実験手法としては昨年確立された方法と同様とした.生後14日齢のヒラメ筋に対してM-cadherin-Qdot複合体でincubationを行いin vivoにて80分間の連続観察した結果,経時的に移動するゴM-cadherin^+筋衛星細胞を確認することが出来た.遊走は筋線維中央側から筋端方向に起きていた.発育期の筋線維端で盛んに起きる筋節構造の新設に対して筋核の供給がどのように行われているかについては不明瞭であったが,本成果から,発育の筋線維では,筋線維上既存部にある筋衛星細胞が活性化・増殖し,筋線維端に移動し筋端で融合することで筋形成・筋節構造の新設に働くことが明らかとなった,観察できた筋衛星細胞の平均移動速度は105nm/minであった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,世界で初めて生体上での筋衛星細胞(サテライトセル)の動きを捉えることに成功した.これは本研究の最大のテーマであり,生体での細胞の働き方を、個体の生きたままで解析する手段を提供するなら、生命を生命全体で理解しようとする現代の生理学への寄与はかなりの程度で達成されるであろう信じられる。

今後の研究の推進方策

筋サテライトセルの遊走を引き起こす因子を探り,人工的にサテライトセルの遊走をコントロールできる条件を探る.これらの知見が得られることは,損傷回復や筋病への貢献に繋がると考える,
さらに,コンタミの少ない染色画像を得るための実験手法の開発,長時間の観察条件の確率,動画としての画像の取り込みなどを中心に研究を進める.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] In vivo real-time imaging of exogenous HGF-triggered cell migration in rat intact soleus muscles2012

    • 著者名/発表者名
      Ishido M., Kasuga N.
    • 雑誌名

      Acta Histochem.Cytochem

      巻: (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Satellite cell pool enhancement in rat plantaris muscle by endurance trainine depends on intensity rather than duration. Acta Physiologica, 205 : 159-166, 20122012

    • 著者名/発表者名
      Kurosaka M, Naito H, Ogura Y, Machida S. Katamoto S.
    • 雑誌名

      Machida S, Katamoto S

      巻: 205 ページ: 159-166

    • DOI

      10.1111/i.1748-1716.2011.02381.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 筋損傷を伴う走トレーニングが骨格筋の形態的,機能的特性に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      幸篤武,永田昌義,野口公輔,與谷謙吾,石道峰典,春日規克
    • 雑誌名

      愛知教育大学研究報告

      巻: 60 ページ: 47-52

  • [雑誌論文] In situ real-time imaging of the satellite cells in rat intact and injured soleus muscles using quantum dots2011

    • 著者名/発表者名
      Ishido M., Kasuga N.
    • 雑誌名

      Histochem Cell Biol.

      巻: 135-5 ページ: 21-16

    • DOI

      10.1007/s00418-010-0767-x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differential gene expression of muscle-specific ubiquitin ligase MAFbx/Atrogin-1 and MuRF1 in response to immobilization-induced atrophy of slow-twitch and fast-twitch muscles2011

    • 著者名/発表者名
      Okamoto T, Torii s, Machida S.
    • 雑誌名

      The Journal of Physiological Sciences

      巻: 61 ページ: 537-535

    • DOI

      10.1007/s12576-011-0175-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] サルコペニアの分子メカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      町田修一,畑山元政,黒坂光寿
    • 雑誌名

      体育の科学

      巻: 51 ページ: 19-55

  • [学会発表] 加齢で起こるサルコペニアのメカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      町田修一
    • 学会等名
      日本健康行動科学会第10回学術大会
    • 発表場所
      神奈川(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-30
  • [学会発表] インターロイキン6はJAK/STAT3/Cyclin D1系を介して筋サテライト細胞の増殖能を調整する2011

    • 著者名/発表者名
      黒坂光寿, 町田修一
    • 学会等名
      第66回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      山口県下関
    • 年月日
      2011-09-18
  • [学会発表] 骨格筋における外因性HGF誘発性細胞移動のバイオイメージング2011

    • 著者名/発表者名
      石道峰典,春日規克
    • 学会等名
      第66回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      山口県下関
    • 年月日
      2011-09-17

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公開日: 2013-06-26   更新日: 2014-05-20  

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