研究概要 |
競技パフォーマンスに関連付けられる候補遺伝子の一つとしてとして、骨格筋内のαアクチニン3タンパク質の発現調節に関わるACTN3遺伝子が注目されている。本年度は、ACTN3遺伝子型と最大無酸素パワー発環時の力・速度関係との関連性について横断的に検討することを目的とした。被験者は、陸上競技の短距離・障害を専門とする大学陸上競技部員(21±1歳)16名であった。ACTR3遺伝子型は、口腔粘膜または血液サンプルを用いてポリメラーゼ連鎖反応TaqManプローブ法によってRR、RX、XX型の3タイプに分類した。また、自転車エルゴメーターを用いた無酸素パワー発揮テストを行い、最大無酸素パワーを算出した。その結果、至適負荷(kp)は、Rアレルを有するもの(RP+RX)は、そうではないもの(XX)に比べて有意に低い値を示した(RR+RX:7.89±0.59,XX:9.24±1.62,p<0.05)。また、至適回転数(rpm)においても同様に、RR+RX型が有意に高い値を示した(RR+RX:140±10.14,XX:123±19.69,p<0.05)。しかし、最大無酸素パワーの絶対値および体重あたりの値は、いずれもXX型(1194±106.45W,17.42±1.61W/kg)がRR+RX型(1053±58.53W,15.36±1.04W/kg)よりも有意に高い値を示した(p<0.05)。これらの結果から、ACTN3遺伝子型のRR,RX型は低負荷・高回転数のような高い速度に依存したパワー発揮を行い、対照的に、XX型は高負荷・低回転数のような筋力に依存したパワー発揮を行っていることが予測されるが、今後さらに被験者の数を増やして検討を加えていく必要性があると思われる。
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