研究課題
身体活動がエネルギー消費量、特に脂肪酸燃焼量を亢進させるメカニズムとして、筋収縮によるAMP/ATP増加にともなうAMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)活性化を介した仮説が提唱されてきた。そこでAMPKを中心とした運動による脂肪酸酸化亢進メカニズムを、骨格筋のAMPK活性を抑制したAMPK-DNマウス、およびAMPKをリン酸化して活性化するAMPK kinaseの一つであるLKB1の活性を抑制したLKB1-DNマウスを作出して、次のことを明らかにした。(1)一定強度の運動を継続するためには、骨格筋LKB1-AMPK情報伝達系が必須であること。(2)骨格筋LKB1-AMPK情報伝達系が、運動時における骨格筋での脂肪酸燃焼と、それに伴うATP産生亢進に必須であること。(3)LKB1はAMPK以外にAMPKに類似したAMPK related kinaseを活性化するが、AMPK related kinaseも、運動による脂肪酸酸化とエネルギー産生および運動継続能に関与すること。継続的な運動は骨格筋でのミトコンドリア機能を高める。それには転写共役因子PGC-1αの増加が関与する。本年度は、運動による骨格筋でのPGC-1α発現誘導にはどのような情報伝達系が必要なのかを検討した。その結果、PGC-1αにはexon 1a由来(a-isoform)と、exon 1b由来(b,c-isoform)の3つのアイソフォームがあり、exon 1b由来のアイソフォーム発現量は運動強度依存的に増加し、その発現には交感神経系(SNS)を介したβ2アドレナリン受容体(AR)活性化が関与すること、またexon 1a由来のアイソフォームは高強度運動時にのみ発現増加し、その発現にはAMPK活性化が一部関与することを明らかにした。
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Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.
巻: 300 ページ: E34l-E349