研究課題
本研究では運動の脂肪燃焼亢進への急性効果と慢性効果がLKB1、PGC-1α新規アイソフォームなどで説明できるか、運動による抗肥満効果にそれぞれがどの程度貢献しているのかを、主にモデルマウスを用いて検討することを目的とした。(1)前年度までの研究で、骨格筋LKB1機能低下LKB1-DNマウスの運動継続能力と運動時の酸素消費量が著しく低下することを見出した。その機序を解明するため、ULKB1-DNマウス骨格筋よりミトコンドリアを調製して呼吸鎖活性を測定したが、障害は認められなかった。LKB1-DNマウスの横隔膜において筋線維タイプの変化(TypeIIB増加)が認められた。以上の結果より、LKB1-DNマウスでは横隔膜機能に異常がおこり、酸素消費量が低下して運動継続能力が著しく低下するものと考えられた。(2)骨格筋にPGC-1α-bを過剰発現させたマウスでは、運動中の脂肪酸酸化量の増加が認められた。PGC-1α-bマウスの骨格筋ではミトコンドリア量、TypeIIa線維、毛細血管数の増加が認められた。PGC-1α-bマウスにおいて運動継続時間、VO_2maxの増加が認められた。血中乳酸値は野生型で増加が認められる運動強度においても、PGC-1α-bマウスでは安静時と同レベルであった。PGC-1α-bマウスでは、運動時の糖利用率が低下しており、また骨格筋での解糖に関与する遺伝子発現量が低下していた。以上の結果より、骨格筋でのPGC-1α-bの増加は、運動トレーニングと同等の変化を骨格筋にもたらし、運動時の脂肪燃焼効率を向上させて運動継続能力を増加させていることがわかった。(3)運動による抗肥満効果への急性効果と慢性効果の貢献度について検討した。LKB1-DNマウスおよびPGC-1α-bマウスを用いて肥満への影響について検討したが、野生型マウスとの間に際だった差異は認められなかった。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)
PLoS ONE
巻: 6 ページ: e28290
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0028290
Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.
巻: 301 ページ: R1350-R1357