近年、妊娠時の親年齢(母親に限らず父親についても)が顕著に上昇しており、自閉症スペクトラム障害などの発達障害への影響の可能性が報告されている。また親年齢の上昇とともに、体外受精、顕微授精などの生殖医療の利用数も年々増加し、現在我が国では新生児の50人に1人は生殖医療による出生である。本研究では、妊娠時の親年齢ならびに生殖医療の利用と、出生後の子どもの成長、特に行動面・情緒面の成長との関連についての検討を行う(自閉症スペクトラム障害の簡易スクリーニングを含む)。具体的には、生殖医療で妊娠・出生にいたったお子さんの、2-5歳での行動や情緒面の発達を、親からの質問紙回答を中心に調査し、自然妊娠から出生にいたったお子さんを対照とした検討を行うとともに、排卵誘発、顕微授精、胚の培養、凍結の有無など、生殖医療の諸条件の影響についても検討する。後者は、子どもの行動発達に優しい生殖医療の発展に貢献することを目的とするが、この検討を行うためには、検出力の大きいデータ収集がきわめて重要である。このため、H22年度に、年間数千人規模の実績がある生殖医療専門クリニック、ならびに年間千人規模の出生のある大学病院産科との研究協力を新たに開始した。この研究協力遂行に必要な諸手続き(各施設の倫理委員会への申請・承認を含む)や協力体制の確認などがH22年度前半、遅れていたが、後半からこれを早急に進め、研究協力体制を整備。この体制のもと、H23年度に研究協力依頼の実施を進めることが可能となった。
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