研究概要 |
本研究の目的は,我が国の青少年の薬物乱用問題を多角的にかつ時系列的に継続してモニタリングし,薬物乱用に関する総合的なデータ・アーカイブシステムを構築することである。 最終年度である平成24年度は、以下の成果を得た。 1.4年間の調査結果にこれまで本研究班が蓄積したデータを加え、時系列的分析を行い、我が国の高校生の薬物乱用のトレンドを明らかにした。すなわち、高校生の喫煙、飲酒経験は連続して低下しており、2009年の時点での生涯喫煙経験率(これまで1回でも経験した者の割合)は13.1%,飲酒生涯経験率は56.7%であった。一方、違法薬物については、全体として低率ではあるが、2004年から2006年にかけて増加し、2009年では低下した。何らかの薬物を一度でも経験した者は2009年、男子1.1%、女子で0.6%であった。各薬物の乱用経験もほとんどの薬物で2009年は低下したが、女子のMDMA乱用経験のみは低率ではあるが2009年にむしろ増加した。 2.韓国及びベトナムにおいて同様に調査を行い、我が国および欧米などの国々と比較した。喫煙経験はベトナム高校生は13.6%と我が国とほぼ同率であったが、韓国はこれより高く30.3%であった。飲酒率は、ベトナム62.7%,韓国61.6%であり、我が国の56.7%よりやや高い。両国の違法薬物乱用経験は欧米に比べて著しく低いが、我が国より高い。最も広く乱用が行われている大麻生涯経験率はベトナム2.0%,韓国0.7%,日本0.4%であり、これに対して米国の17歳では45.5%であった。 3.薬物の危険性に対する知識、乱用に対する態度を分析し、我が国の高校生のほとんどがその危険性よく理解し、乱用について拒否的な厳しい態度をもつことが明らかになった。 4.上記をまとめ報告書を作成するとともデータ・アーカイブを構築した。
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