研究分担者 |
堀口 雅美 札幌医科大学, 健康医療学部, 准教授 (10217185)
澤田 幸展 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (40045539)
加藤 有一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 助教 (90363689)
岡村 尚昌 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 助教 (00454918)
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研究概要 |
本研究では,血管健康の簡易指標として,申請者グループが独自に開発した指動脈弾力性指数(Finger arterial elasticity index : FEI)を用いている。研究1:FEIの信頼性を若年健常青年男女170名からの資料によって評価した結果,同一人の複数回測定の変動係数は5%程度であった。また,同時測定した平均血圧とFEIの関係は双曲線をなし両方の対数間では線形となった。FEIのこの血圧依存性は回帰直線予測からの残差を求めることで調整可能であり,血圧に依存しない新しい動脈硬化指標を開発した(FEIadj)。研究2:慢性ストレス評価法としてのアロスタティック負荷(Allostatic load : AL)を,健康な22歳以上の男子学生において調査した。FEIadjは年齢とは独立に,血管炎症を表す高感度CRPおよびALと有意な相関関係を示した。同様にALは人格特性としての敵意性と正の偏相関,コヒアレンス感とは負の偏相関を示し,大学生版食行動尺度(Eating behavlor scale : EBS)による不健康な食習慣,特に,満腹まで食べ,早食いで,不規則な食事とも有意な正の偏相関を示した。これらの知見は,健常青年の小・細動脈の硬さが血管炎症反応と関連し,否定的と肯定的人格特性と食習慣に関連した慢性ストレスの影響も受けることを示すものである。従って,FEIadjは動脈硬化の早期診断に寄与するものであり,健康心理生理学への広い応用可能性を示唆する。 今後は研究2と同一の調査により例数を追加し,交絡要因の影響を考慮に入れることで上記の知見を確認し,健常青年男子のストレスと血管健康の関係における全体構造を分析する。
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