研究概要 |
本研究の目的は,1年間の運動および食事介入試験を実施し,肥満関連遺伝子多型と運動および食事による減量効果について検証することである.本研究の最終的な目標は,肥満関連遺伝子の1塩基多型(SNP)解析から個別化された生活習慣改善プログラムを提供する,「テーラーメイドヘルスケアプログラム」を開発することにある.平成21年度は,肥満者の運動および食事介入を1年間実施するとともに、18-78歳までの男女716名を対象に、基礎測定項目として,身体組成,行動分析,血液検査に加え,過去の運動習慣や食事習慣をアンケート調査にて調査し,また体力測定として最大酸素摂取量や脚筋力を評価した。さらに、採血によって得られた血液成分からDNAを抽出し、生活習慣病に関連するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ型(PPARγ)およびホモシステイン(MTHFR)遺伝子多型を解析し、体力との関運について横断的に分析した。その結果、両遺体子多型について体力との相互関係が認められた。すなわち、生活習慣病関連遺伝子を保有していても、有酸素性能力をあらかじめ高く維持することで生活習慣病リスクを軽減できる可能性が示唆された。これらの結果は、Physiological Genomics誌において掲載が許可されるとともに、Obesity誌に現在投稿中である。今後は、これらの遺伝子多型に及ぼす運動介入研究の効果について検討し、「テーラーメイドヘルスケアプログラム」の開発のための基礎データを構築する予定である。
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