研究概要 |
本研究は,動物介在療法の流れを汲む「動物介在教育」を通して,「いのち」の大切さ,他者への思いやり,自然環境への配慮を教えることで,肉体的にも精神的にも健康な子どもたちを育てることを目的としている。具体的には,様々な分野の専門家が研究分担者・研究協力者として参加する「CoP-AAE:動物介在教育のための実践コミュニティ」の構築を通して,幼稚園で実践可能な「子どもたちのための心を育む動物介在教育プログラム」の開発に取り組むことを目的とした。「動物介在教育」(Animal Assisted Education : AAE)とは,生き物を介して,命の大切さや他者への思いやり,自然環境に対する興味,生き物に関する理科的知識を育む教育のことである。実践コミュニティ(Community of Practice : CoP)とは,あるテーマに関する関心や問題,熱意などを共有し,その分野の知識や技能を,持続的な相互交流を通じて深めていく人々の自発的な集団のことである。実践コミュニティの構築を通して,組織あるいは職位を超えてさまざまな人々が交流することを促し,貴重な知識を有効に活用し,与えられた課題を組織的に解決することが可能となる。本年度は,昨年度から継続して「動物介在教育のための実践コミュニティ(CoP-AAE)」のメンバーと研究交流を行うとともに,「自然体験を通した教育の実践と効果の検証」「動物の訪問による命の教育」「動物飼育・世話体験を通した共感教育」についての共同研究を行った。その成果については,「ヒトと動物の関係学会」「日本理科教育学会中国支部大会」「子ども環境学会」で発表を行うとともに,広島大学の研究紀要に掲載した。また,研究成果の一部を,幼児教育のための研修会及び研究会の招待講演において公表した。
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