研究概要 |
【はじめに】資源の節約と環境への配慮を念頭において、不要とされる繊維の利用の可能性を次の2点から検討する。天然・化学繊維の表面に化学的改質を加えて、イオンや有機物の吸着性能を高めて水と空気の浄化材料を設計する事、II.繊維の分子構造に新たな官能基または構造を導入して新しい機能性をもつ素材とする事;特に、研究代表者の特許「高分子材料の改質方法およびその用途」の技術を用いて、改質困難とされる合成繊維の有効利用を検討する。 【結果】 1)塩基性官能基もつモノマー(N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA))の紫外線グラフト化条件を求めた。グラフト化レーヨンは、水中の陰イオン界面活性剤LASを自重の2倍以上吸着した。 2)レーヨンにアクリルアミドをグラフト化し、ホフマン転位により、アミド基をアミノ基に変えてから、希塩酸で処理した材料を製造して、LASの吸着を検討した。 3)PETボトルから得たPET板について、アクリル酸(AA)の紫外線グラフト化を検討した。グラフト率は8%程度が最大であった。アンモニウムイオンの吸着は9mg/g-PET程度であった。 4)気相中のアンモニアの吸着:AAグラフト化木綿とポリエステル繊維による窒素-アンモニア混合気体からのアンモニアの吸着実験を行った。未処理木綿には微量が吸着した。グラフト率34.2%の木綿のアンモニアガスの吸着量は1.1mg/g-Fであり、グラフト率6.37%のポリエステルのアンモニアガスの吸着量は2.7mg/g-Fであった。さらに継続的な検討を必要とする。 5)ポリプロピレン繊維の表面の接着性を改良して、エポキシ樹脂との複合材料を製造した。改質繊維によって、複合材料の破壊強度が増加する事が確認された。
|