研究概要 |
資源節約と環境への配慮を念頭に、不要繊維に機能性を付与して再利用可能な材料を作る事を目的とする。方法は、1)繊維に化学的改質を加えて、イオンや有機物の吸着性能を高めて水と空気の浄化材料を設計する事、2)繊維に新たな分子構造を導入して新しい機能性をもつ素材とする事、である。代表者の特許「高分子材料の改質方法およびその用途(日本特許3729130)」の技術を応用する。次の成果が得られた。1)木綿・レーヨンにアクリル酸(AA)と塩基性官能基もつモノマー、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)を、紫外線グラフト化する条件を求めた。モノマー反応液(メタノール-水)に過酸化水素(0.3%溶液)を加えて、高圧水銀ランプH400Pを0.5-2時間照射して、反応混合物をメタノールに投下、沪過、水またはクロロホルムで抽出した。生成物の重量増加からグラフト率を求めた。仕込み例:綿糸 600mg、MMA 2ml、DMAPAA 8ml、水 3ml、0.3% 過酸化水素 6ml。AAグラフト率は40%、DMAPAAは単独では反応率が低いが、メタクリル酸メチル(MMA)10%混合物とすると、グラフト率12%程度となった。2)AAグラフト化繊維をナトリウム塩とした結果、アンモニウムイオンを効果的に吸着した。陰イオン活性剤LASの吸着では、アミノ基モノマーのグラフト化レーヨンではDMAPAA-MMA > DMAPAA > DMAEA-MMAの順に高い吸着を示した。3)ポリプロピレン繊維の接着性を向上させて複合材料用の繊維を製造した。3)アクリル酸グラフト化繊維に対するセシウムイオン(Cs+)についての吸着実験を行った結果、Cs+単独水溶液からは、効果的に吸着できたが、混合イオンの溶液からの吸着実験では、効果が異なった。
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