研究課題/領域番号 |
21300271
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
都築 和代 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (70222221)
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研究分担者 |
森 郁惠 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (90415753)
甲斐田 幸佐 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (80586264)
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キーワード | 睡眠 / 季節 / 高齢者 / 実生活 / 皮膚温 / エアコン / サーマルマネキン / 温熱環境 |
研究概要 |
高齢者が夏期に寝室で冷房設備を使用することによって快眠できる要件を導くために、高齢女性8名を被験者として、調査結果に基づき、エアコン運転2時間、パネル運転5時間、冷房なしの4条件を比較する実験を実施した。入眠前の温冷感は「やや暖かく」、快適感は「どちらともいえない」という申告であったが、冷房なしでは、「暖かく」、「やや不快」という申告であった。起床時はエアコンやパネルのタイマーが切れているため、「やや暖かい」~「暖かい」、「やや不快」の申告となり、27℃50%一定の初日よりも「暖かく」「不快」側申告が得られていた。睡眠感申告やOSA調査票については、実験条件間に有意な差は認められず、初日の27℃50%がもっとも良い申告となった。OSAの標準化得点が第一夜に起床時眠気と疲労回復の因子について52.5と51.7であったが、それ以外の条件や因子については50未満だったので、一般的な睡眠より悪かった可能性がある。皮膚温、直腸温、発汗量、睡眠深度や睡眠効率については、実験条件間に有意な差は認められなかった。これらの生理反応は、快適もしくは、睡眠が影響を受けない範囲での体温調節の上限と考えられた。エアコンによる冷房はおまかせ制御であり、気温は約26℃であったが、相対湿度65~70%と高く保たれ、被験者近傍で気温0.5~1℃や風速0.2m/sの変動があったことや、タイマーが切れてから気温の上昇が睡眠を阻害した原因と考えられる。冷放射パネルは、タオルケットをかけると暑いが、タオルケットをかけていないとひやっとするという感想が起床時に被験者から得られた。これは、被験者が冷放射を夏に経験することが乏しく、あるいは、冷房の一つとして冷放射をとらえることができず、空気冷房と同じ涼しい感覚を得ることが難しかったためと推察される。マネキンで取った放熱量データについても解析する予定である。 最終年度に向けて、実生活場面で睡眠中の血圧と1ch脳波計による睡眠計測を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災以降半年間は続く余震と節電等の影響を受け、実験が実施できず、研究が停滞気味であったので、この夏までデータを収集することになった。また、分担者の異動があったため、寝具の評価に関する研究は、サーマルマネキンを使って実施するなどの代替方法を取った。しかし、全体として当初の計画に基づき順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
多くの睡眠実験や実生活場面における睡眠の実態調査を実施し、また、人体熱モデルによる評価やサーマルマネキンによる評価実験を実施した。今後は、夏のデータ収集とともに、これらのデータをまとめる予定である。
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