研究課題/領域番号 |
21300274
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
神山 かおる 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, ユニット長 (00353938)
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研究分担者 |
佐々木 朋子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (10353939)
早川 文代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (00282905)
熊谷 仁 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20215015)
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キーワード | 食品 / レオロジー / テクスチャー / 介護食品 / 咀嚼 / 嚥下 / ゲル / ゾル |
研究概要 |
近年の超高齢社会では、咀嚼・嚥下機能が低下し食べられる食品に物性上の制約が生じ、栄養不良から自立生活ができなくなる高齢者が増えており、咀嚼・嚥下しやすく、栄養的にも優れた食品の開発が必要である。本年度は、高齢者に必要な栄養素、特にたんぱく質やカルシウムが豊富で、エネルギーも高いチーズについて、テクスチャーに特徴のある市販品および試作したプロセスチーズのモデルを用いて検討した。試料のテクスチャーを2バイトテクスチャー試験、テクスチャー官能評価、及び咀嚼・嚥下時の閉口筋及び開口筋の筋電位測定から、咀嚼しにくさ、嚥下しにくさに関わるパラメータを得て、それらの相関関係を調べた。 機器測定および官能評価で、かたさ値が高いチーズ試料は、咀嚼時間と閉口筋の筋電位振幅が大きかった。かたさ値が同程度の場合、付着性が高い試料の方が、咀嚼に必要な筋活動量が高値になった。また、口腔内に付着しやすいチーズは、咀嚼後半の開口筋活動量が大きく、律動的な閉口筋活動が消失してから最終嚥下が起きるまでの時間も長かったことから、食塊形成が困難であることが示唆された。 また、かたいチーズを一口大の塊状と細かく刻んだもので比較したところ、刻むと、咀嚼時間が有意に短く、咀嚼回数が有意に少なくなり、食べやすくできることが示唆された。この変化は、咀嚼初期の閉口筋活動時間と筋活動量が小さくなることに由来し、咀嚼中期、後期においては、形状による筋活動の差異は認められなかった。 このように筋電位測定から、機器測定では評価できない咀嚼中に変化する、離水・唾液の吸収、粉砕度、唾液への成分の溶解、あるいは体温による融解などを総合的に反映した指標が得られたと考えられる。
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