研究課題
研究の遂行ために、まず炎症性腸管モデル系の構築を行った。その際に、我々の研究室で既に構築した共培養による腸管モデルをもとに、マクロファージを配置した基底膜側(腸粘膜側)からリポポリサッカライド(LPS)を加えることで炎症状態を模倣させ、この系が炎症状態の腸管粘膜を擬似できているかどうかを確かめた。その結果、LPS刺激後のIL-8およびTNF-α産生増加、腸管上皮単層膜の損傷、抗TNF-α抗体およびブデソニド処理によるIL-8mRNA発現の抑制が認められ、炎症性腸管モデルが生体における腸管炎症状態を模倣していることが確認できた。次に、この系を用いて食品に含まれる炎症性腸管の検索を行い、低分子因子としてポリフェノール類であるルテオリンおよびクルクミンを見出した。一方、高分子因子としては、乳酸菌であるクレモリス菌とシイタケ中に含まれている抗腫瘍性多糖であるレンチナンに抑制効果が認められた。さらにインビボでの効果を確かめるために、カスピ海ヨーグルト由来のLactococcus lactis subsp.cremorisについて、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性腸炎マウスモデルを用いて腸炎抑制効果を検討した。その結果、炎症による結腸短縮および病理組織像に有意な改善が認められ、この作用機構が結腸組織中の炎症性サイトカイン(TNF-α、IFN-γ)mRNA発現を抑制していることも明らかにした。
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International Immunopharmacology 9
ページ: 1444-1451
Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 73
ページ: 2324-2325
http://www.research.kobe-u.ac.jp/ans-glyco-chain/