研究課題
本課題は、糖尿病合併症の予防と治療に資するため、糖尿病合併症の発症を抑制するビタミン成分を豊富に含む食品を特定すると共に、その食品の機能性と機能発揮機構を明らかにすることを目的として研究を行った。まず、[○!ア]前年度に確立した食品分析法により、抗糖尿病合併症ビタミンであるピリドキサミンとピリドキサミン5'-リン酸の含有量を各種食品について分析した。鶏ささ身、鶏レバー、卵黄、卵白、ニンジン、ニンニク、食べる煮干について含有量を明らかにでき、これらの中で食べる煮干がピリドキサミン5'-リン酸を非常に多く含むことがわかった。また、これらの中では、鶏レバーがピリドキサミンをもっとも多く含んでいた。次いで、[○!イ]抗糖尿病合併症機能の有効性と、機能発揮メカニズムを明らかにするため、モデル動物として野生型マウスと糖尿病発症マウスに、抗糖尿病合併症ビタミンであるピリドキサミンを添加した飼料を与えて、効果を調べた。その結果、ピリドキサミンの投与により、糖尿病マウスの肝臓における糖新生が抑制されていることが明らかになった。このことは、ピリドキサミンが糖尿病合併症を防ぐ新たな機構であるとあると思われる。すなわち、従来見出されていたピリドキサミンの抗糖尿病合併症機構は活性カルボニル化合物やAGE生成の抑制によるとされているが、今回得られた結果は、この機構ではない新たな抗糖尿病合併症機構でピリドキサミンが作用していることを示唆している。さらに、食品の機能性を把握するためにヒト尿中のピリドキサミンとその関連化合物の濃度を分析する必要があり、尿分析法を開発した。
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