研究課題/領域番号 |
21300280
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
大島 寛史 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (80433209)
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研究分担者 |
三好 規之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (70438191)
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70195923)
東 達也 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (90272963)
糠谷 東雄 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員共同研究員 (00094342)
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キーワード | コレステロール / オゾン酸化 / 好中球 / ミエロペルオキシダーゼ / 生活習慣病 |
研究概要 |
コレステロールのオゾン酸化物であるsecosterol類[3β-hydroxy-5-oxo-5,6-secocholestane-6-al(atheronal-A)およびそれがアルドール化して生成した3β-hydroxy-sβ-hydroxy-B-nor-cholestane-6β-carboxaldehyde(atheronal-B)は、非常に細胞毒性が強い化合物であり、最近、ヒト粥状動脈硬化巣やアルツハイマー病患者の脳組織において検出されたことから、炎症に関連した生活習慣病発症の原因物質として注目を浴びている。しかし、生体内での生成機構については明らかにされていないので、ヒト好中球細胞によるコレステロールからのatheronal類生成について詳細な検討を行った。その結果、好中球のmyeloperoxidaseが産生する活性酸素種がatheronal類生成に関与していることを、様々な酵素阻害剤や活性酸素種捕捉剤あるいはmyeloperoxidase欠損マウスから単離した好中球を用いて明らかにした。一方、atheronal-AおよびBは、仔牛血清を含む培養液に添加後、速やかに検出されなくなることを見出した。これは、atheronal類が血清成分と反応し、短時間のうちに他の化合物に代謝されるか、あるいは、血清成分と反応し付加体を生成する可能性を示唆している。そこで、現在、血清を含む培養液中でのatheronal類の代謝運命について詳細に検討を行っている。また、atheronal類の細胞毒性誘発機構を解明することを目的として、atheronal類のアルデヒド基がアルコールあるいはカルボン酸に置換した化合物を合成し、毒性を調べたところ、atheronal類と同様に強い毒性を有することが明らかになった。最後に、生体試料中のatheronal-AとBの存在を定量し、疾病との関連を精査することを目的として、atheronal-AとBの標品および安定同位体を含む内部標準物質を合成し、LC-MS/MSによる高感度特異的分析法の開発を行った。その結果、atheronal類を2-hydrazino-1-methylpyridine誘導体とし、LC-MS/MS分析することにより、従来の誘導体に比べて、約100倍検出限界を向上させることに成功した。現在、ヒトや動物の生体試料中の分析の確立を行うため、試料からのatheronal類の抽出、精製法、再現性などを検討している。
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