研究課題/領域番号 |
21300283
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
大原 直樹 金城学院大学, 薬学部, 教授 (20426422)
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研究分担者 |
奥山 治美 金城学院大学, 薬学部, 教授 (90080176)
山田 和代 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (90080217)
永田 伴子 (財)食品薬品安全センター秦野研究所, 毒性部長 (50426425)
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キーワード | 脂質 / ミニブタ / 病理学 / 内分泌撹乱 / カノーラ油 |
研究概要 |
本研究では、いくつかの植物油を摂取させることにより脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)で認められた短命化に関連のある有害効果が、よりヒトに近い種であるミニブタに於いても認められるか否か、また、その機序を調べることを目的とした。離乳期より大豆油(対照)、カノーラ油または水素添加大豆油を10重量%添加した飼料で18ヶ月間飼育したクラウン系雄ミニブタを解剖し、血液、および臓器(脳、肝臓、脾臓、腎臓、副腎、精巣、甲状腺、前立腺等)を採取した。解剖は概ね終了したが、途中死亡例があり、追加した個体の解剖を平成22年度に持ち越した。血液検査も平成22年度に実施した。 得られた結果は、次の通りである:大豆油摂取群の精巣重量が他2群より小さかった。病理組織標本観察の結果、大豆油群では精細管内の生殖細胞数が減少していた。また、水素添加大豆油群では膵臓の外分泌腺細胞に壊死が認められた。精巣、副腎、下垂体および肝における発現遺伝子の網羅的解析では、ステロイドホルモン代謝系に影響がある可能性が示唆された。 ここまでの観察では、SHRSPで認められた影響とはその様相が異なる可能性がある。今回設定した3群はいずれも10%脂肪添加飼料を摂取しているため、油脂無添加通常飼料飼育の個体6例を追加して比較した。平成22年度はステロイドホルモン定量を実施した。その結果、ミニブタではSHRSPで認められたカノーラ油および水素添加大豆油摂取によるtestosteroneレベルの低下は認められなかった。従って、植物油摂取によるホルモン代謝への影響がミニブタとSHRSPとでは異なることが明らかになった。現在、これらの差違の原因について検討を進めている。
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