研究課題
菜種(カノーラ)油を脂肪源として摂取すると、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)の背景病態(高血圧症、血管傷害等)が増悪して生存日数は短縮する(対照は大豆油摂取群)。本研究では、この有害効果が、SHRSP)に較べヒトに近い種であるミニブタでも認められるか否かを明らかにすることを目的とした。離乳期より大豆油(対照)またはカノーラ油を10w/w%添加した飼料で18ヶ月間飼育した雄ミニブタを解剖し、血液および臓器(脳、肝臓、脾臓、腎臓、副腎、精巣、甲状腺、前立腺等)を採取した。血液生化学的パラメータおよび病理組織の所見では、カノーラ油摂取による有害効果は確認できなかった。一方、大豆油摂取群の精巣重量は、平成22年度に追加した通常飼料摂取群と比較して小さかった。したがって、大豆油摂取群の精巣重量は、カノーラ油摂取群より小さいと判断した。大豆油摂取群では精細管内の生殖細胞数が減少していた。マイクロアレイによる、精巣、副腎、下垂体および肝における発現遺伝子の網羅的解析では、ステロイドホルモン代謝への影響が示唆されたため、血漿および精巣組織中のステロイドホルモンをLC-MS/MSおよび精巣組織中ステロイドホルモンを定量した。しかし、SHRSPで認められたテストステロンレベルの低下は、ミニブタでは認められなかった。血漿および精巣組織中の他のステロイドホルモンレベルにも影響は認められなかった。以上の結果から、今回の実験条件下では、カノーラ油摂取は雄ミニブタにおいて、有害効果を顕わさないことが明らかとなった。
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