21年度は、高次の学力形成・獲得のための方法の具体化、検討および実践を行った。まず、ここでいう高次の学力と考えられる自分自身の思考についての思考であるメタ認知の構成要素について明確にした。この構成要素である「認知の知識・理解」と「認知の調整」という二つの要素は、本研究で検証の道具として用いるOPP(One Page Portfolio)シートを通して育てようとしている資質・能力と明確な対応があることを明らかにした。そして、それを活用することにより、学習者の資質・能力を育てるために、教師の働きかけをどうすればよいのか明らかにした。 それを踏まえて、小学校6学年の「ものの燃え方」単元を事例にして、授業のグランドデザインと学習指導案の関わりに関する検討を行い、学習指導案を作成し実際に授業を行った。その際、授業と学習の過程を検証するためにOPPシートを作成し、学習者の学習履歴を明確にした。また、高次の学力形成の前提をなす学習者の認知過程の外化と内化を明確にするとともに、その双方向性とスパイラル化という形成的評価により資質・能力を育成できること、OPPシートの自己評価などの働きかけがさらにメタ認知の能力の育成につながっていくことを明らかにした。 さらに、学習者が外化した学習履歴に不適切な内容が書かれている原因を分析し、教師の適切な働きかけを位置づけるとともに、改善した新たな学習指導案の提案を行なった。この実施は、22年度以降の課題となる。さらに、高次の学力形成の鍵となっている学習者の認知過程の外化と内化に加えて、内省がいかなる関わりを持っているのかについて、詳しく検討することも22年度の課題にあげられる。
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