研究概要 |
本研究では,平成21年度~22年度の間に1)主として国内(主として,岩手,東京,山梨,愛知,愛媛,鹿児島)における視覚障害者に対応した森林ESDのニーズとハード・ソフト両面の実施環境の問題とポテンシャルを調査し,2)実践を通じて森林ESD教材・プログラムの効果について評価する手法を開発し,3)視覚障害者と協働して展開する森林ESDモデルを構築したうえで,4)開発したモデルを国内外に広く普及することを目的とする。なお,開発する視覚障害者対応型森林ESDプログラムは,視覚障害者を実践者とする形式と視覚障害者を参加者として迎える二つの形式を設定する。本研究では,視覚障害者との協働により展開する森林ESDから立証する効果として,1)森林の持つ多面性・多機能性・持続性の理解,2)心理効果(自信につながる達成感,障害者・健常者間の相互理解など),3)持続可能な社会づくりにつながる生活様式の変革への持続的効果を対象とする。 本年度は,研究では,国内(主として,岩手,東京,山梨,愛知,愛媛,鹿児島)における視覚障害者に対応した森林ESDのニーズとハード・ソフト両面の実施環境の問題とポテンシャルを調査した。具体的には,各地域の視覚障害者に関する情報(人数,関連団体)などを調査,それぞれの地域に適した視覚障害者に対応した森林体験用教材の収集などを行った。その結果,視覚障害者の人数,団体数や連携可能性などについて地方ごとに大きく異なる状況があることが分かった。教材については,全国で交通して使用できると想定される者を揃え,研究者間で交通して所持し今後プログラム・教材開発に反映させることとなった。海外においては,アメリカ合衆国とモザンビークにおいて,森林教育と一般教育における視覚障害者への対応と活動事例についての調査を行った。両国とも視覚障害者に対応した教育を展開しているが,視覚障害者自らが体験指導者として活躍する事例は見られなかった。
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