研究概要 |
本研究の主眼・目的は、今日および近未来の高度に発展した情報化社会をユビキタス知識社会として意味付け,そこでの新しい学習環境・形態をラーニング・エコロジー(Learning Ecology)として構築していくことを目指す。そのような情報化社会(ユビキタス知識社会)では知識の生産過程が,既に存在する知識の再生産ではなく,さらに自由な学習,協調の学習の過程において常に創造され,相互に交流・発展しあうものとなる。このような過程を前提として、これを実現するための新しい学習形態は、国内外においてintegrated e-Learningとして、Web2.0を基盤にした理論面、技術面での発展が目指されている。本研究ではこれら新しい学習に対応した新しい教育学・教授学(以下,これをe-Pedagogyと称する)の体系化をめざすことにある。 平成21年度に引き続き,本年度は主に次の観点から並行して研究を実施した。(1)ラーニング・エコロジー,e-Learning,e-Pedagogyに関する学術調査を実施した。Web2.0に関するツールの調和的,持続的な教育環境への適応に関する研究は特にヨーロッパ、アジアの研究機関,研究者らによって広範に行われていることが判明した。(2)ラーニング・エコロジカルモデルのポータルサイトによる構築を行った。次世代e-Learningの精査(LT系),e-Pedagogyの精査(eP系)の観点からそれぞれの上記課題を相互に持ち寄り,統合的なラーニング・エコロジーのモデルを構築することができた。技術的側面と理論的側面を融合することで有効性を持ったモデル化は具体的成果としてLearning Ecology Based E-Learning(LEBEL)というポータルサイトの構築とそれをベースとしたモバイルツールを利用しての学校における実践研究に結実した。成果の一部は学会発表を実施した。これらは,研究の最終年度である次年度のより具体的な実践研究とその成果発表,研究交流に生かす基盤となった。
|