国際化の時代、外国語学習の必要性が社会的ニーズとなっている。特に、学生に関しては、英語スピーキングの機会が少ない。本研究では、情報通信技術を援用することにより、外国語スピーキングの練習を行うツールを開発する。 今年度は、システム開発を行い、学習効果にかかわる検証実験を行った。学習システムは、所定の日本語短文集合の中からほぼランダムに一つの短文を選択し、画面提示する。学習者は、それを英語に速訳することを試みる。その後、正解を提示して暗記に努める。この繰り返し学習を進めることにより、あらかじめ用意した外国語短文を全部暗記するようにする。 今年度は、暗記学習の学習効果を検証した。そこでは、暗記の対象とする課題群Xと同じく対象としない課題群Yを設定した。事前テストとして、XとYの全課題について、日本語文を提示しそれをただちに英文で口述すると言う内容であり、これを録音した。その後、課題群Xだけを暗記の対象とした。被験者が英文をほぼ全部暗記したと申告した段階で事前テストと同じ内容の事後テストを実施し、録音した。事前・事後テストのすべての録音をネイティブスピーカに聞いてもらい、fluencyの観点で5段階評価をしてもらった。その結果、課題群Xのみならず課題群Yに関しても、fluencyが向上していることが統計上明らかになった。以上の結果から、暗記学習によって、ある程度スピーキングの向上が認められることとなった。
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