研究課題
本研究の目的は、非同期分散型eラーニングにおける学習者モデルを構築し、それに応じた学習支援方法を提案するシステムを開発することによって、学習支援者の負荷軽減と学習者の自己調整に対する効果的な支援を実現することである。平成21年度の研究は、以下に述べる3つの分野で成果を残した。第一に、学習者タイプ分類のための質問紙項目の作成である。これは、学習者モデル形成の基礎研究に該当し、83項目の質問紙を開発、因子分析によって15凶子を抽出した。成果はGoda et al.(2009)、合田ほか(2010)として発表された。また、6月から12月にかけて自己調整学習研究会を開催、本科研分担者および外部専門家によってSchunk and Zimmerman(2008)を輪読し、自己調整への効果的な介入方法に関する知見を得た。第二に、学習者タイプ分類アルゴリズムの開発である。この研究は、直接学習行動記録を分析する手法によって学習者タイプを分類する手法を用いた。その結果、Yuyama et al.(2009)、松田・山田(2009)で発表したように、学習計画習慣の有無と学習者自身の可処分時間の量が学習行動を規定する要因となることが示唆された。三番目に、自己調整学習を促進するメンタリング技法の体系化である。この研究では、学習支援の熟達を表す特徴への手掛かりをつかんだほか、学習者タイプに基づくテータベースを試作し、成果を齊藤・松田(2009)、松田ほか(2010)で発表した。なお、平成21年度に取り組む予定であった研究のうち、各コースで求められる自己調整度の指標作成には着手したばかりであり、まとまった成果を導出するに至っていない。平成22年度には、この分野の研究も進め、学習者・学習支援者・eラーニングコースを自己調整学習の観点から整理し、効率的・効果的な学習支援方法を提案できるシステムの開発を進める。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
これ一冊でわかるeラーニング専門家の基本 ICT・ID・著作権から資格取得準備まで(東京電機大学出版局)
ページ: 70-81, 140-150(合田)95-99, 151-170(松田)
Proceedings of World Conference on E-Learning in Corporate, Government, Healthcare, and Higher Education 2009 Vol.1
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科学教育研究 Vol.33, No.4
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日本教育工学会論文誌 第33巻,増刊号
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