研究課題/領域番号 |
21300321
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐倉 統 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (00251752)
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研究分担者 |
入來 篤史 理化学研究所, 脳科学総合研究センター象徴概念発達研究チーム, チームリーダー (70184843)
高木 美也子 日本大学, 総合科学研究所, 教授 (00149337)
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キーワード | 脳神経倫理 / 科学コミュニケーション / 科学技術社会論 / 言説分析 / 科学史 / 脳トレ / 学際研究 / 理研BSI |
研究概要 |
本研究では、「脳科学の倫理」およひ「脳科学と社会」について、具体的な事例を取り上げて問題の原因と背景を明らかにするとともに、日本の社会条件や文化伝統に適した脳神経倫理の枠組みを提唱することを目的としている。平成22年度は、「脳科学の倫理」の事例としてDBSとBMIにしぼり、予備調査で選定したインタビューイーと調査項目にもとづき半構造化インタビューやフォーカス・グループ・インタビューをおこなった。その結果、専門家と一般における技術に対するイメージの具体的な違いをある程度明らかにすることができた。「脳科学と社会」については、脳トレに関するマスメディアの言説分析と、日本における学際研究としての脳科学の科学史を調査した。前者に関しては、新聞記事の定量的および質的な分析をおこない、「脳研究」と「脳トレ」が異なった扱いを受けていることを明らかにした。すなわち、前者は通常の科学的情報として取り扱われているのに対して、後者は生活面や教育に関する記事として扱われていた。さらに、最近になるとそろばんなどゲーム以外のさまざまな事象も「脳トレ」として報じられるなど、「脳トレ」が一般名詞として扱われる傾向があることが明らかになった。これらのことから、脳トレに関する情報は新聞記事空間においては通常の科学的情報とは異なる言説空間を形成しており、それを分析する際にも科学情報とは異なる枠組みが必要であることが示唆された。学際研究としての脳科学の科学史的研究については、1990年代の日本において「脳科学」という概念が成立し、それを鍵として理化学研究所脳科学総合研究センター(BSI)が設立される過程の分析をおこなった。
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