研究課題
申請書「研究の目的」で掲げた3つの課題に即して今年度の研究成果をまとめる。(ア)研究/臨床のスタッフと被験者/患者との間のコミュニケーションの質の向上…2009年度と同様の講義実施を通して、臨床医工学(とくに脳神経科学乏ロボティクス)を中心とする先端医療技術の倫理的・社会的側面に即した教育実践を行い、多分野の教員・研究者との意見交換および受講者の意見のフィードバックを行い、改善に向けたプランを策定した。また、先端医療の臨床現場において医療者が直面する難題への取り組みに関わる研究として、医師・看護師・コメディカル対象の「臨床倫理事例研究会」へのコーディネータとしてグループディスカッション運営への参加、救急医療スタッフとの臨床倫理検討会およびその成果の国際学会での報告(2010年5月国際臨床倫理コンサルテーション会議)を行い、課題の整理を進めている。(イ)専門家集団と一般市民との間の公共的コミユニケーションの促進…今年度はとくに脳神経科学、遺伝子ビジネス、ロボット工学をめぐる問題を継続的に取り上げ、異分野専門家間での対話可能性を探ったが、般市民をまじえた公共的コミュニケーションの実践のための議論の基盤作成を進めた。(ウ)人間学的・文明論的意味の反省的熟慮のための素材提示…脳への介入、遺伝学的検査、ロボット工学をはじめとする先端テクノロジーが人間社会や人間存在にとってどのような意味をもつのかを、下記に挙げる人文・社会学的視点から検討する業作を進め、基本的な点を明確化した。医療人文研究会(遺伝子ビジネス)、本科研費研究会・日本機械学会(ロボティクス)、日本生命倫理学会(ニューロエシックス)。
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