• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

韓国出土青銅器の成分・金相分析を基幹とした東アジアにおける高錫青銅加工技術の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21300328
研究機関国立大学法人富山大学

研究代表者

長柄 毅一  国立大学法人富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (60443420)

研究分担者 三船 温尚  国立大学法人富山大学, 芸術文化学部, 教授 (20181969)
キーワード蛍光X線成分分析 / 高錫青銅器 / 熱間鍛造 / 鋳造 / 熱処理 / 焼き入れ / 韓国鍮器 / 金属組織
研究概要

韓国の財団法人東亜細亜文化財研究院と「高錫青銅製品分析共同研究協定」を締結し、平成21年度に研究院から資料10点の提供を受け研究を開始したが、研究を加速するために平成22年1月から研究院の研究者を本学に受け入れ、出土青銅器の熱処理技術を含む製法についての共同研究を実施している。平成22年度には、韓岡慶尚南道出土の高麗時代、朝鮮時代の青銅器のなかから、分析に適した銅椀、銅血、匙等35点を選定し、組成や製法に関する調査、研究を行った。その結果、それらの80%が現代韓国における青銅器「鍮器」と同様、Snを20%以上含む高錫青銅器であり、熱間鍛造後、焼き入れ熱処理を施されていることがわかった。
また、東アジアにおける広域的な情報収集の観点から、インドファルマーナ遺跡出土の銅器31点についても分析を行い、そのうち10点については金属組織解析を行った。この遺跡から出土した資料に高錫青銅は見出すことはできなかったが、他の遺跡出士の資料についても調査を行なったところ、マフルジャリ遺跡の出土品から焼き入れの根拠が見られる資料が見出された。この資料は韓国の高錫青銅器と異なりSnの含有量は低いが、同様に熱処理(焼き入れ)が施されており、他の類例がないか引き続き調査中である。
日本の資料では、岡山県の殿田1号墳、荒神西古墳などから出土した銅鋺をはじめ、三重県神島八代神社神宝(国指定重要文化財)、東京大学博物館所蔵青銅器などについて、蛍光X線分析装置を用いた非破壊の成分分析を行った。
このように、高錫青銅の加工技術における技術伝搬を明らかにする上で必要なデータについて、韓国の高錫青銅器を中心に川上のインド、川下の日本にいたるまで順調に蓄積している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 金属組織観察による高錫青銅の熱処理技術と製作技術の解明2010

    • 著者名/発表者名
      長柄毅一
    • 雑誌名

      東亞文化

      巻: Vol.8 ページ: 253-290

  • [雑誌論文] 向山遺跡出土銅鉢の金属組織と腐食形成層2010

    • 著者名/発表者名
      長柄毅一、波多野篤
    • 雑誌名

      日本金属学会誌

      巻: Vol.74 ページ: 598-604

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 現代アジアの高錫青銅器製作技術の比較2010

    • 著者名/発表者名
      三船温尚
    • 雑誌名

      アジアの高錫青銅器-製作技術と地域性-

      ページ: vii-x,5-11

  • [雑誌論文] 佐波理伝来-二元系高錫青銅容器の来た道-2010

    • 著者名/発表者名
      清水康二
    • 雑誌名

      アジアの高錫青銅器-製作技術と地域性-

      ページ: 13-22

  • [雑誌論文] 現代のインド、韓国における高錫青銅器の加工と熱処理-熱間加工温度と熱処理温度の調査報告-2010

    • 著者名/発表者名
      長柄毅一
    • 雑誌名

      アジアの高錫青銅器-製作技術と地域性-

      ページ: xi-xiv,23-30

  • [雑誌論文] 慶南地域 高麗~朝鮮時代墳墓出土高錫青銅遺物研究2010

    • 著者名/発表者名
      辛勇旻、李相龍
    • 雑誌名

      アジアの高錫青銅器-製作技術と地域性-

      ページ: 55-62

  • [雑誌論文] Indian High Tin Bronzes : A continuing tradition from ancient to modern times2010

    • 著者名/発表者名
      S.Ranganathan, S.Srinivasan, I.Glover
    • 雑誌名

      アジアの高錫青銅器-製作技術と地域性-

      ページ: 201-215

  • [学会発表] インド・マフルジャリ(Mahurjhaii)遺跡出土の銅鋺について2010

    • 著者名/発表者名
      長柄毅一、Vasant Shinde、清水康二、青柳泰介、李相龍、三船温尚
    • 学会等名
      アジア鋳造技術史学会
    • 発表場所
      島根県立古代出雲歴史博物館
    • 年月日
      2010-08-28
  • [学会発表] 6-7世紀における銅製容器の生産体制(予察)2010

    • 著者名/発表者名
      持田大輔、長柄毅一、澤田秀実
    • 学会等名
      アジア鋳造技術史学会
    • 発表場所
      島根県立古代出雲歴史博物館
    • 年月日
      2010-08-28

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi