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2010 年度 実績報告書

本州中部日本海側山地の亜高山・高山域における最終氷期以降の植物群・環境変遷史

研究課題

研究課題/領域番号 21300333
研究機関千葉大学

研究代表者

沖津 進  千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (70169209)

研究分担者 百原 新  千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (00250150)
守田 益宗  岡山理科大学, 理学部, 教授 (90289140)
苅谷 愛彦  専修大学, 文学部, 准教授 (70323433)
植木 岳雪  産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (40371025)
キーワード植生史 / 環境変遷 / 最終氷期 / 多雪山地 / 大型植物化石
研究概要

本州中部日本海側山地の亜高山・高山域には,湿潤多雪環境のもと,オオシラビソ林,ダケカンバ林,バ林,ハイマツ低木林,雪田植生などの多様な植物群が分布している.東アジアの植物地理構造を反映した分布要素からみると,北東アジアから北米西海岸の湿潤海洋性気候下に分布するベーリング要素植物群が中心であり,大陸内部の乾燥気候下に分布する東シベリア要素や寒帯に分布する周北極要素も共存しており,これらは日本固有の植物群を形成している.本研究では,本州中部日本海側山地において,高山・亜高山域での最終氷期以降の植物群と環境の変遷史を,湿潤多雪環境の推移および植物地理的な分布要素に基づき整理した植物群の挙動を中心とした固有な植物群落の形成過程に焦点を当てて明らかにし,「乾燥気候が卓越した最終氷期時にも,より湿潤な気候下に分布するベーリング要素植物群が,地形的なすみわけを通じて共存分布していた」との,全く新しい植物群変遷史を提示することを目的とする.本年度には長野県北部の岩岳湖成層,神城湖成層,大正池ボーリング試料の植物化石を調べ,唐花見南部湿原でボーリング調査を行った.神城湖成層では,最終氷期最寒冷期のシラビソやカラマツを含む亜寒帯針葉樹林の中に現在の多雪域に固有なチシマネコノメソウが草本群落を構成していたことや,ブナ林の構成樹種であるウラジロモミが分布していたことが明らかになった.最終氷期からの報告が少なかったトウヒやダケカンバが,森林の主要構成種だったことも明らかになった.本科研メンバーによる日本地理学会「日本における亜高山・高山域の植生・環境変遷史研究グループ」は12月11日に信州大学山岳科学総合研究所で公開シンポジウム「日本における亜高山・高山域の植生・環境変遷史」を開催した.一般参加者を含む180名の参加者があり,本研究成果を公開し古植生,地質学,地形学の研究者と活発な議論を行った.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 利尻島野塚溶岩流直下の最終氷期植物化石群2011

    • 著者名/発表者名
      百原新・守田益宗・近藤玲介・植木岳雪
    • 雑誌名

      利尻研究

      巻: 30 ページ: 83-88

  • [雑誌論文] Vegetation landscape around the Arkaim eco-preserve, southeastern Ural, Russia2011

    • 著者名/発表者名
      Okitsu, S., Prikhodko, VE., Matsushima, M., Inubushi .K.
    • 雑誌名

      HortResearch

      巻: 65 ページ: 56-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 飛騨山脈・針ノ木岳北面に分布する完新世を示す沖積錐堆積物の14C年代2010

    • 著者名/発表者名
      苅谷愛彦
    • 雑誌名

      第四紀研究

      巻: 49 ページ: 383-387

    • 査読あり
  • [学会発表] 北東アジア沿岸, 海洋域の植生から見た日本の高山・亜高山帯の植生地理2011

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 学会等名
      日本地理学会春季学術大会
    • 発表場所
      専修大学, 東京
    • 年月日
      20110300
  • [学会発表] 本州日本海側山地の亜高山・高山植生史の再検討2011

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 学会等名
      第58回日本生態学会
    • 発表場所
      北海道大学, 札幌
    • 年月日
      20110300
  • [学会発表] 大雪山の垂直分布と極東ロシアの植生一共通点と相違点一2011

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 学会等名
      第13回大雪山フォーラム
    • 発表場所
      旭川市
    • 年月日
      20110200
  • [学会発表] 北東アジア沿岸, 海洋域の植生からみた日本の高山・亜高山の植生地理2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 学会等名
      シンポジウム日本における亜高山・高山域の植生・環境変遷史
    • 発表場所
      信州大学, 松本
    • 年月日
      20101200
  • [学会発表] 大型植物化石分析による最終氷期以降の植物群の変遷2010

    • 著者名/発表者名
      百原新
    • 学会等名
      シンポジウム日本における亜高山・高山域の植生・環境変遷史
    • 発表場所
      信州大学, 松本
    • 年月日
      20101200
  • [学会発表] 北アルプス周辺の地層の年代観と編年手法2010

    • 著者名/発表者名
      植木岳雪
    • 学会等名
      シンポジウム日本における亜高山・高山域の植生・環境変遷史
    • 発表場所
      信州大学, 松本
    • 年月日
      20101200
  • [学会発表] 北アルプス周辺の大規模地すべりと古環境研究2010

    • 著者名/発表者名
      苅谷愛彦
    • 学会等名
      シンポジウム日本における亜高山・高山域の植生・環境変遷史
    • 発表場所
      信州大学, 松本
    • 年月日
      20101200
  • [学会発表] 北東アジア沿岸, 海洋域の植生からみた日本の高山・亜高山の植生地理2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 学会等名
      植生学会第15回大会
    • 発表場所
      北海道大学, 札幌
    • 年月日
      20100900
  • [図書] 亜高山・高山域の環境変遷-最新の成果と展望-2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進・安田正次
    • 総ページ数
      86
    • 出版者
      日本地理学会「日本における亜高山・高山域の植生・環境変遷史グループ

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公開日: 2012-07-19  

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