研究分担者 |
塚本 修 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40027298)
高橋 正明 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (70188051)
二宮 洸三 海洋研究開発機構, 地球環境領域, 特任上席研究員 (60292950)
佐藤 尚毅 東京学芸大学, 自然科学系, 講師 (90392935)
高橋 信人 宮城大学, 食産業学部, 助教 (90422328)
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研究概要 |
日本付近での『前線帯の質』の季節サイクルやその年々の変動性について,『日々の降水分布の偏り(激しい対流域,層状域,降水抑制域のコントラスト)とその集積』にも注目して解析を進めた。 暖候期に関しては,梅雨最盛期だけでなく,春や秋雨等についての多降水日(例えば日雨量50mm上の日)にも注目して調べた。その結果,4月頃でも,九州南部では,日本列島の他地域に先駆けて,多降水日の出現頻度の季節的増加が見られた。それは,4月頃はまだ日本付近の南北の温度差が大きいが故に,かなり南方から九州へ水蒸気を運べるような温帯低気圧が生じやすいためであることが示唆された。一方,東日本での秋雨期の多降水日は,安定成層の時も多かった。これは,「北方の寒気成長で強化された傾圧場の擾乱に伴う南風域が(水蒸気の南方からの流入),平均場として水蒸気の多い南方まで伸びる」という季節の遷移期の特定のタイミングの現象であることが分かった。更に,盛夏期や秋雨期のメソスケール豪雨システムと環境場の梅雨期との違いも,事例解析として示した。また,梅雨期と秋雨期を通した前線帯での雨域の広がり,冬から春にかけての停滞前線に伴って天気がぐずつく時の総観場が現れる季節的背景の特徴,等の知見も提示した。 一方,秋から冬にかけて,北陸の日本海側では,真冬の降雪期と同様な大きな降水量を示し,それは主に冬型時の(しかも弱い冬型でも)纏まった降水の寄与であることが分かった。また,本州太平洋岸での冬の南岸低気圧に伴う降水の,経年的な増加・強化傾向も明らかになった(低気圧活動と降水増加の正のフィードバックを伴いながら,)。更に,冬季モンスーンにおける,フィリピン,日本域,シベリア域の正,負,正の3極構造を持つ東西風の偏差アノマリーの構造・振る舞いも明らかにした。 なお,九州の梅雨~盛夏期の豪雨の起こり方や総降水量への寄与の年々変動に関する新たな知見を踏まえた授業開発研究を通して.学校現場へ本研究成果を普及するための展望を開いた.
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